もう7月になりました。
今年は梅雨らしい梅雨もなく、気がつけば連日の猛暑日――季節の移ろいの早さに、体もついていくのがやっとですね。
そしてこれからが本格的な夏の始まりです。
糖尿病のある方にとって、この暑さのなかをどう乗り切るかは、血糖コントロールに直結する大切なテーマです。
特に「水分補給」と「運動のしかた」には、他の季節以上に気をつけたいポイントがあります。
① 夏の水分補給、本当にスポーツドリンクが必要?
運動や高温多湿の環境下で大量に汗をかくと、血中の塩分濃度が下がり、「熱痙攣」などの熱中症の症状が現れることがあります。
そのため、夏場の屋外活動やスポーツ時には、水分だけでなく電解質(塩分など)の補給も必要になることがあります。
こうした背景から、「熱中症予防にはスポーツドリンクを飲まなければ」と思われがちですが、実際には水やお茶で十分なことが多いです。
なぜなら、私たち日本人はふだんの食事からすでに多くの塩分を摂取しているからです。
実際、日本人の平均的な食塩摂取量は1日約10グラムとされており、これは厚生労働省の推奨量(男性7.5g未満、女性6.5g未満)を大きく上回っています。
つまり、軽い運動や日常生活で汗をかく程度であれば、わざわざスポーツドリンクで塩分を補う必要はほとんどないということです。
特に高血圧のある方は、夏場でも1日6グラム未満の減塩が望ましいとされていますので、塩分の摂りすぎには注意が必要です。
また、糖尿病の方にとっては、糖分の多い飲み物を大量に摂ると、血糖値が急上昇するリスクがあります。
スポーツドリンクには電解質が含まれている一方で、糖分も多く含まれているため、血糖コントロールが必要な方には適さない場合があります。
そこでおすすめなのが、糖質の少ない飲料や塩分タブレットをうまく活用する方法です。水分をしっかり摂りながら、糖分や塩分の摂りすぎにも配慮することができ、無理なく効率的に電解質を補給できます。 以下に、主要な飲料やタブレットの成分比較表を掲載します。ご自身の体調や目的に合わせて、適切な方法を選びましょう。
製品名 | 塩分 (ナトリウム) | カロリー (エネルギー) | 特徴 |
ポカリスウェット ![]() | (100ml)あたり 0.12g | (100ml)あたり 25 kcal | 汗をかいた後に、素早く水分と糖分を補給するために設計された飲料。糖分が多いので、血糖管理には注意が必要。 |
塩タブレット![]() | 1錠あたり 0.1g | 1錠あたり 11kcal | 1錠でポカリ100ml相当の塩分を低カロリー補給できる。必要に応じて摂取する。1日2~4個程度に。 |
OS-1 ![]() | (100ml)あたり 0.3g | (100ml)あたり 10 kcal | 医療用の経口補水液。ナトリウムを適切に含んでおり、糖分が少ない。脱水症状予防にも効果的。 |
※各社ホームページ・各商品パッケージより引用
② 運動は「時間」と「場所」の工夫がカギ!
運動療法は血糖コントロールにとても効果的ですが、夏場はタイミングを間違えると熱中症のリスクが高くなります。
特に11時〜15時は気温が最も高く、熱中症で救急搬送される人が多い時間帯です。この時間帯の外出や運動はなるべく避け、以下のような工夫をしてみましょう:
- 朝早い時間や日が落ちた後に運動する
- 商業施設の中や駅の地下道など、涼しい場所を選んでウォーキング
- 室内でできる運動(YouTubeでのヨガや体操動画など)もおすすめ
無理に長時間の運動をする必要はありません。
短時間でも継続することが大切です。
③ 薬の種類によっては脱水に注意が必要
現在内服しているお薬にも、夏場の体調に影響を与えるものがあります。
特に注意したいのが、SGLT2阻害薬(ジャディアンス・フォシーガなど)です。
この薬は、尿中に糖を排出するとともに、水分も一緒に失われるため、脱水になりやすい傾向があります。
服用中の方は、こまめな水分補給を心がけましょう。
また、糖尿病以外でも利尿薬や抗ヒスタミン薬(アレルギー薬)を服用している方は、体の水分バランスが崩れやすくなります。
薬を飲んでいる方は、医師や薬剤師と相談しながら、体調の変化に気をつけましょう。
④ 脱水症に早く気づくには「体重測定」がカギ!
脱水が進行すると体にさまざまな不調が現れますが、その前に気づける簡単な方法が「毎日の体重測定」です。
1日に500g〜1kg以上の体重減少があった場合、それは水分が抜けている可能性があります。
- 体重が急に減った
- 尿の色が濃い
- 口の中が渇く
- 倦怠感やめまいを感じる
こうしたサインに早く気づけるよう、毎朝の体重チェックを習慣化しましょう。
まとめ:夏を安全に乗り切るためのチェックリスト
運動は気温の低い時間帯&涼しい場所を選んで
薬による脱水リスクにも注意しよう
毎日の体重チェックで脱水の兆候を早期発見! 水分は「水・お茶」が基本、大量に汗をかいたら塩分補給も忘れずに
暑い夏を無理せず健康的に過ごすために、自分の体と対話するような意識で生活していきましょう。
体調に少しでも異変を感じたら、無理せず休むことも大切です。それでは、引き続き健康第一でお過ごしください!