映画『国宝』から考える――糖尿病と足のトラブル

先日、映画館で話題の作品『国宝』を観てきました。
芸に人生を捧げた人物たちの姿に心を揺さぶられる、素晴らしい作品でした。ご興味のある方は、ぜひ劇場でご覧になってみてください。
登場人物のひとり・俊介が、晩年に糖尿病による足の壊疽(えそ)を患うシーンがあります。
――「足の壊疽」って、どんな状態かご存知でしょうか?
また、なぜ糖尿病の方に足のトラブルが起きやすいのか、考えたことはありますか?
今回は物語から着想を得て、
『糖尿病と足病変』についてご紹介したいと思います。

目次

その足の傷、大丈夫?

糖尿病とフットケアの大切な関係

「最近、足の感覚が鈍い気がする」
「靴ずれができても気づかなかった」

そんな経験はありませんか?
糖尿病の方にとって、「足のケア」はとても重要なテーマです。

糖尿病が足に与える影響とは?

糖尿病になると、高血糖の影響で神経や血管が少しずつダメージを受けます。
これにより、以下のような変化が起こります。

  • 神経障害:痛みや温度、触った感覚が鈍くなる
  • 血流障害:足先までの血流が悪くなり、傷が治りにくくなる
  • 免疫力の低下:感染しやすく、化膿しやすくなる

つまり、小さな傷や靴ずれがきっかけ
深刻な感染や潰瘍につながるリスクがあるのです。

糖尿病の方によく見られる足のトラブル

  • 靴ずれや小さな傷が悪化して膿んでしまう
  • タコやウオノメの下に潰瘍ができる
  • 最悪の場合、壊疽(えそ)になり、足の切断に至ることも…

これらはすべて、早めに気づき・対処すれば防ぐことが可能です。

足の変化をチェックしましょう

  • タコ
  • 乾燥・ひび割れ
  • 巻き爪
  • 爪白癬(爪の水虫)
  • 爪肥厚(爪が分厚くなる)
参考資料:サノフィ社の患者教育用パンフレット

今日からできる!簡単なフットケア

糖尿病の足を守るには、毎日のセルフケアが欠かせません。

1. 靴選びに注意
  • 足に合ったサイズ、通気性のある柔らかい靴を選びましょう
  • 靴を買うなら、足がむくみやすい夕方がおすすめです
2. 足をよく見る(毎日の観察)
  • 傷・赤み・水ぶくれ・変色・腫れがないかチェック
3. やさしく洗って、しっかり乾かす
  • 指の間も丁寧に
4. 保湿を忘れずに
  • 乾燥によるひび割れを予防
5. 爪はまっすぐに切る
  • 巻き爪や出血を防止

専門的なケアも取り入れて

  • 定期的に病院で足のチェックを受ける
  • 看護師や足病医によるケア(タコの処置や正しい爪切りなど)
  • 足の変化に気づいたら、早めに受診を!

まとめ:足の健康は、未来の自分を守る第一歩

糖尿病による足のトラブルは、自覚がないまま進行することもあります。
しかし、毎日のセルフケアと早めの受診で多くは防ぐことができます。
足の変化は、体からの大切なサインかもしれません。
未来の自分を守るために、今日からできることを始めてみましょう。

糖尿病の足は小さな変化にも注意が必要です。

毎日のケアと早めの受診を心がけましょう。



新宿サザンクリニック 医師 山本万友美

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次