生活習慣病
生活習慣病とは?
生活習慣病とは、食事、運動、休養、喫煙、飲酒などの生活習慣が発症の主な原因となっている病気の総称です。
発病してもかなり進行するまで自覚症状が現れないことが多く、知らないうちにダメージが蓄積され、やがて心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、脳出血などの深刻な病気を引き起こすことがあります。
現在、生活習慣病に含まれる病気とされているのは、がん、脳血管疾患、心疾患、さらにそれらの危険因子となる動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、脂質異常症です。
主な生活習慣病の種類一覧
生活習慣病は定義がはっきりしていないため、「五大生活習慣病」(例:がん、糖尿病、心疾患、高血圧性疾患、脳血管疾患)や、「八大生活習慣病」(例:五大生活習慣病に加え、腎疾患、肝疾患、膵疾患)というように、その時々で含まれる病気が異なることもあります。
ここでは、生活習慣病に分類される主な病気を順に解説していきます。
がん
がんのなかでも大腸がんと肺がんは、生活習慣との関連が大きいことが知られています。
大腸がんは、遺伝の場合を除いて食習慣との関連が明らかになっており、肺がんは、喫煙という生活習慣が最大の原因です。
がんの発症には喫煙、食生活、運動不足、飲酒といった生活習慣が関係するとされています。
糖尿病
糖尿病は、「インスリン」というホルモンの不足や働きが悪くなることによって、血糖値の上昇を抑える働き(耐糖能)が低下し、高血糖の状態が続く病気です。
目や腎臓、神経などに影響が出る他、心臓病や脳卒中が発症するリスクが高まり、命に危険が及ぶこともあります。
肥満
肥満とは、単に体重が重いだけではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことです。
肥満だけでは病気といえないことも多いですが、多くの病気を引き起こす原因になっています。
脂肪が多い場所によっても健康への危険性が大きく異なり、特に腹部に脂肪が蓄積する「内臓脂肪型肥満」はリスクが高いといわれています。
脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症とは、血液中の悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪が多すぎる、もしくは善玉(HDL)コレステロールが少なすぎるなど、脂質が異常な状態にある病気です。
動脈硬化と関連があり、ある日突然、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの血管障害を発症させることがあるなど、注意が必要です。
内臓脂肪型肥満になると、脂質異常症になりやすい傾向があることがわかっています。
高血圧症
高血圧とは血圧が高い状態のことですが、たまたま測った血圧が高かっただけでは「高血圧症」とはいい切れません。
何度くり返し測っても血圧が基準より高い場合、高血圧症という病気と診断されます。
高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧とがあります。
二次性高血圧は、甲状腺や副腎などの病気があり、それが原因で高血圧を起こすものをいいます。
睡眠時無呼吸症候群でも二次性高血圧を合併します。
それに対し、日本人の大部分の高血圧は、それらの原因のない、本態性高血圧です。本態性高血圧は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。
なかでも、日本人にとって重要なのは、食塩の過剰摂取です。
日本高血圧学会の高血圧診断基準、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。
高血圧が続くと動脈硬化を引き起こしやすくなる他、脳出血や脳梗塞、大動脈瘤、腎硬化症、心筋梗塞、狭心症、眼底出血などの原因にもなります。
脳卒中
脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれます。
脳梗塞、脳出血、くも膜下出血という3つの病気の総称で、いずれも高血圧が最大の原因です。
高血圧が長く続くと、動脈硬化が進行します。
すると、やがて脳の血管が詰まって脳梗塞になったり、脳の血管が破れて脳出血になったり、脳の血管の一部分に動脈瘤ができて破裂し、くも膜下出血になったりすることがあります。
心筋梗塞
心疾患は日本人の死因の第2位と重要な疾患です。
そのなかでも心筋梗塞は、循環器の要といえる心臓の血管が何らかの原因で詰まり、血液の流れが止まって細胞が死んでしまう箇所(梗塞)が生じる病気です。
無事に回復しても、心不全や不整脈などの後遺症をもたらすこともあります。
慢性気管支炎
気管や気管支が長期間にわたって炎症を起こし、咳やたんが続くのが特徴です。
喫煙や受動喫煙※が主な原因で、粘り気の強いたんが詰まるなどして気道が狭くなり、息を吐きづらくなることもあります。
なお、最近では慢性気管支炎などの肺の炎症性疾患を総称し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ぶこともあります。
肝硬変
肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こった慢性肝疾患によって、肝臓内に線維組織が増え、肝臓が硬くなってしまう病気です。
脂肪肝
肝臓には、体内で余ったエネルギーが中性脂肪につくり替えられて貯蔵されます。
適量ならば問題ないのですが、肝細胞の30%以上に中性脂肪がたまると「脂肪肝」と診断されます。
多くはメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を合併しています。
原因のほとんどは食べ過ぎや飲み過ぎ(多量の飲酒)ですが、糖尿病やステロイド剤の服用などによる代謝異常が影響していることもあります。
自覚症状はほとんどなく、放っておくと肝炎や肝硬変になるため、注意が必要です。
近年では、アルコールではなく過食が原因で脂肪肝から肝炎・肝硬変となる「NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)」が増加していることが問題視されています。
当クリニックでは生活習慣病の検査、診断、治療を専門医を中心に行っています。